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システムメンテナンス思考(その6)

1.概要

前回は、簡易的システムメンテナンス、点検方法の基本的な手段について紹介し、その手法に合わせてモニターシステムのメンテナンスを纏めてみました。機材の故障は突然発生しますので、やむを得ない場合もありますが、日々機材の点検を行う事である程度防ぐことができます。
特に、デジタル系では問題なくてもアナログ系では経時変化で性能が徐々に劣化しますので有効な手段と云えます。そこで、今回のテーマは経時変化を主に代表的なシステムのメンテナンスについて紹介いたします。

2.代表的なシステムメンテナンスについて

−1.取材システム
取材システムは機材の運搬から始まり、過酷な環境条件で使用されるケースが有りメンテナンスが最も必要とされます。カメラやVTRは温度、湿度、埃等に対し構造上の制約から万全な対策が施されるとは云えません。この為、メンテナンスとしてクリーニングが主になりますが、アクセサリー等についても点検が必要です。特に、バッテリーは、周囲温度によって使用時間が変化すると共に充電される電気量も増減しますので注意が必要です。また、生ものと云う考え方もあり、使用回数のチェックも有効と考えます。何れにしても取材システムは始業点検や使用後のクリーニングは欠かせない作業といえます。


-2.編集システム
編集システムには簡易的なシステムから大規模なシステムまで幅広く有り、それに伴いメンテナンスも多岐に渡ります。しかし、機能的に分離しますと、VTRに代表される編集素材を再生する機材、編集された素材を収録する機材、映像スイッチヤー、音声ミキサー、編集機、各種モニター類から構成されております。VTRやモニターのメンテに関しては前回紹介しましたので、ここでは他の機材について紹介します。
通常は作業に必要な系統にテスト信号を入力し、モニターを用いてシステム内の点検を行う方法です。テスト信号にはカラーバーと1kHzの音声信号を用い、映像系は信号レベル、位相、クロマレベル、音声系は信号レベル、位相等をチェックします。この時のポイントは、システムとしての入出力端と機材単体の入出力が有りますので、チェックポイントを何処に設けるかを決めておく必要があります。


本来は、各機器の入出力で規格を満足しているのが望ましいのですが手間と時間が掛かりますのでシステムの入出力でチェックし、不具合が発生した段階で確認することをお勧めします。各信号のチェックが終了しましたら次は機能チェックです。システムが複雑になればなるほど機能も増えてきますので難しい面もありますが、−部の機能が故障していても気付かずに使用できるケースがあり、使いたいときに初めて気づくケースがあります。使用頻度の高い機能とそれ以外の機能を予め区別し点検することをお勧めします。一般的に発生するトラブルは、機器のセットアップ条件やプリセットレベルを変更したまま元の状態に戻し忘れた場合などがあります。また、VTRの映像素材によるトラブルとして、同期位相のズレやカラーフレームの問題があり、編集点等で画像ショックとなって現れます。特に、同ポジ編集をする際には、編集機のカラーフレームモードを設定しないで編集しますと同じように編集点でショックが発生します。NTSC方式の映像信号は、白黒テレビとカラーテレビの両立性(コンパチビリティー)を確保する為に、白黒テレビで見たときカラー信号が目立たなくすること及び音声搬送波の妨害を極力少なくする工夫がなされております。
この結果、白黒信号の場合は1枚の画像を完結するには2フィールド有れば済みますが、カラー信号の場合は4フィールド必要になります。
従いまして、再生される映像信号は必ずカラーフレームを合わせてから編集を行いませんと編集点で一瞬画像が横方向にシフトする乱れが発生します。動きのある画面では解りにくいのですが、風景画など動きが少ない画面間で同ポジ編集を行いますと編集点の乱れが確認できます。
事前セッティングやプリセットが多くあるシステムですと得てして間違いが起こりやすくなりますから、標準設定を予め決めておきトラブルが発生したときは、まず標準設定に戻し確認する方法も解決の糸口になると云えます。


-3.送出システム
送出システムには、VTRやサーバーで構成されるシステムと回線から受けた番組を再送信するシステムがあり、メンテナンスもそのシステムに合わせた方法が必要になります。初めにVTRやサーバーで構成されるシステムですが、基本的に自局から送出しますので映像信号および音声信号の管理は当然チェックしなくてはなりませんが、此処でも映像信号のシステム位相管理が大切です。システム位相がずれておりますと編集システムと同様に、他系の映像信号とスイッチしたとき信号の不連続が起こり映像障害が発生します。−般的には送出信号を切り替える為のルーターが組み込まれておりますので、このルーターの入力位相を合わせる必要があります。


また、送出時に番組のスタート点ヘスタンバイさせる為の手段として自動化が図られていると思いますが、このスタンバイされた位置からスタート制御を受け送出される出だしの映像が正しく出力されるかの確認を行います。一般的には、番組の前後に捨てカットを付けられているので、送出される映像が欠落することは無いと思いますが、制御タイミングがずれてきますと放送事故になりますのでチェックが必要と云えます。特に、音声信号と映像信号の出だしが異なるケースが多々有りますので、音切れもチェックする必要があります。
次に再送信システムですが、このシステムでも基本的にシステム位相のチェックが必要です。システムの構成にもよりますが、局外から受信した番組や各種情報を再送信する際、局内の基準信号に同期を合わせシステムルーターを経由し送出されるシステムですので位相のチェックは必要になります。


次に、システム位相の調整手順を紹介します。
システム位相には、SC位相とH位相が有ります。SC位相はクロマ信号の位相を調整します。図−1に示しましたバースト信号の位相が信号を切り替えた時、常に同じ位置になるよう各信号のシステムSCを調整します。
クロマ位相には、ヒューの調整もありますがこの調整は、バースト信号と各色信号の位相を可変する際に使用しますので間違わないようにして下さい。

H位相は、同期信号のスタート位置を合わせます。図−2に示します水平同期信号の立ち下がりのレベルが50%下がった位置で各信号のH位相を合わせます。ここでも、同期信号と映像信号の相対位置を調整する機能がありますので、システム位相と間違えないようにして下さい。

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