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システムメンテナンス思考

1.概要

これまで連載してきましたハードディスク関連は前回で終了し、今回からは「システムメンテナンス」についての槻要を紹介いたします。
一言でシステムとしましたが、その中には用途に合わせて様々なシステムが有り、そのメンテナンスとなると実際には大変な労力と技術が必要になります。その中でも日常メンテナンスが必要になる機材を取り上げて紹介してみたいと思います。

2.ビデオテープについて

各種記録メディアが商品化されておりますが、現状では∨TRが全盛である事は事実であり、そこで使われるテープが主流になっており、システムを有効活用するためにはテープのメンテナンスが重要になります。特に、取材や中継録画等で取り直しが効かない映像を収録する際にテープのトラブルで機会を逸しては大変な損失になります。オープンリールからカセットテープヘ移り変わってきた段階で、テープの状態が確認し難く成っていますが、それだけに日頃のチェックが必要と云えます。

 

2.1テープの構造について
初めにテープの構造について簡単に紹介させていただきます。

 

一般的に磁気テープは、図−1に示した構造から造られております。磁性層と呼ばれる部分に磁粉を接着剤(バインダー)と共にテープベースに塗布されます。この部分に信号が記録されますが、記録される周波数が高く成るに従って磁性層の塗布厚を薄くする必要があります。また、接着剤としてのバインダーには研磨剤が添加してあり、ビデオヘッドの表面をクリーニングする働きを持たせております。 次にバックコートですが、テープが摩擦されることで発生する静電気対策が主な目的でありますがテープの走行を滑らかにする効果も合わせ持っております。

 

2.2テープダメージについて
テープダメージは、一般的に使用回数が多くなる事で増加しますがVTRの故障によっても引き起こされるケースがあり、以下に日常的な現象について記述します。

 

-1. 使用回数によるダメージ
使用回数によって引き起こされるダメージの代表的なものに磁性粉の剥離があり、現象としてはドロップアウトと云われる映像信号の欠落が生じ、この現象が出ますとモニター画面上に横筋ノイズとなって見えます。

 

ただ、VTRにはドロツプアウトに対する補正回路が組み込まれておりますので小さな欠落では識別できませんが、オシロスコープ等の測定器を使用しビデオヘッドの再生出力信号をチェックすることで確認できます。
以上の症状を図−2,3に示しました。実際は粉落ちの状態に程度の差が有るので障害の出方はまちまちですが、映像モニターで確認出来るレベルですと、そのテープを使用する際には注意が必要で出来ればワークテープ等にお使いいただくことをお勧めします。

 

-2. VTRによるダメージ
VTRによるダメージの代表的な要因は、ビデオヘッドによってテープにキズをつけるケースとテープ走行系によってテープエッジ等にキズをつけるケースが有ります。ビデオヘッドによるキズは、-1項で紹介しましたドロツプアウトとして症状が発生します。この場合は、テープが新しくても出ますのでテープの劣化ではありませんから∨TRの点検が必要です。
次に、テープ走行系に起因するダメージですが、通常テープエッジがカールすることで障害が発生します。症状としては、映像モニターの画面の上とか下とかの部分に細かなノイズが現れます。このノイズは、テープ走行が不安定な状態で発生していますから、ノイズが出たり消えたりしますし、更に走行が不安定になると画面全体にノイズが発生します。

 

-3.その他の要因によるダメージ
その他の要因で発生するダメージの発生ケースは少ないと思いますが考えられる項目を参考までに記述いたします。

 

・VTRのテープ走行系のガイド類に異物が着いているケース。
この場合は、テープ長手方向にキスが着きますので再生したときの映像に連続した横筋ノイズとして現れます。

 

・テープの巻きむら
収録等が終了した際にテープを巻き戻しますが、この時∨TRの巻き戻し張力にムラが発生しますと、テープが波状に巻き込まれた状態で保管されます。
この場合は、テープ縦方向に皺が着きますので再生したとき、皺の部分で映像の上から下へとノイズが流れるように現れます。

 

・挨やゴミの混入
カセットテープの使用が多くなったことから挨の混入はある程度軽減されましたが、使用環境によってはテープに厳しい状況が発生します。特に、ニュース収録等では環境を選択することが出来ないケースです。また、∨TRの走行系に磁性分や汚れが着いていますと、その汚れがテープに付着するケースも有ります。
この場合は、ドロップアウトノイズとなって発生し、ノイズの現れ方は付着した異物の大きさによって異なります。

 

・環境の影響
環境の影響は、主に温度差と湿度がテープに対し悪影響を与えます。
特に、長期間テープを保存する場合などは、なるべく温度差が少なく湿度が低い場所が良いと云えます。温度差が有りますとテープが変形したりしてテープ走行が不安定に成りますし、湿度が高いところに長時間保存しますとやはりテープ走行が不安定になります。
この場合は、テープとビデオヘッドの接触が不安定になりますので映像の乱れやノイズが全面に出るなどの症状にります。

 

・落下や衝撃の影響
落下や衝撃の影響はカセットに成ってから改善されましたが、過度の衝撃はテープに影響を与えます。カセットケースが壊れるほどの衝撃は論外として外観には影響なくてもテープに影響を与えている場合があります。特に、長時間テープなどでは重量もあり衝撃に対して影響が大きいと云えます。
障害としては、テープエッジが折れるケースです。この場合は、エッジに記録されている信号が再生できなくなりますので音飛びや画像の乱れとなります。

 

以上、テープに対する障害について紹介しました。次回は、これらを防ぐ為の日常のメンテナンスについて紹介致します。

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