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ハードディスクの応用

1.概要

ハードディスクを搭載した商品は、家庭用、業務用、放送局用と、実に様々な用途に合わせた製品が発表されております。ハードディスク自体は同じであっても機能や価格が異なり使う側から見ると選択に窮すると云え ます。此までは、記録メディアとして∨TRが主流でありましたが、ディスクの価格が下がり小型化されたことで使いやすい環境が整ったと云えます。
そこで、今回は商品化された製品を使う視野に立って紹介します。

2.VTRとハードディスクの違い

記録メディアとしてハードディスクを搭載した製品の用途は多岐に渡りますが、人間と同じように適材適所が有ると云えます。ここではVTRと比較し、ディスクの適材適所を紹介したいと思います。初めに、整理してみますと、いろいろな長所や短所が有ります。
代表的な項目を下記に列挙します。

 

VTRの機能面について

 

VTRの長所
−1.記録媒体であるテープの交換が容易
−2.テープで収録素材の保管が出来る
−3.小型、軽量化が図れる
−4.システム価格がローコストで可能

 

VTRの短所
−1.検索時間が長い
−2.収録容量が少ない
−3.駆動部分のメンテナンスが必要

 

以上の様な項目が挙げらます。これらの項目についてハードディスクと対比しながらディスクメディアの長所と短所を紹介いたします。
利点1項のテープ交換ですが、基本的にテープの記録フォーマットが同じVTRであれば「何処でも」「他のVTRでも」再生が出来ます。このことはテープを持ち運ぶのみで、機材の移動は必要ありません。一方、ディスクは装置に組み込まれていますので、取り外して他の装置にセットすることは出来ません。
利点2項のテープ保管ですが、野外ロケや完パケした映像素材を個別に残せます。格納スペースは必要ですがローコストで貴重な映像素材を長期に渡り保管出来ることはテープならではと云えます。

 

一方、ディスクは1項で記述しましたように、取り外して使える構造に成っておりませんので、組み込まれているディスクの記録容量で限定されます。この為、保管したい素材は予めビデオテープ等にコピーし保管する必要があります。
利点3項の小型、軽量化ですが、何といってもVTRはENGから発展した機材ですから、小型、軽量化の技術は進んでおり最適化されていると云えます。一方、ディスクは、前項で記述しました様に脱着できる構造に成っていない事と、耐衝撃性に難点が有り可搬型の商品化を難しくしております。
利点4項のローコスト化ですが、∨TR台数の少ない小規模の編集システムや送出システム等ではコスト的にディスクを使ったシステムより有利と云えます。しかし、システムの規模が大きく多目的の運用を実現するにはディスクシステムが有利と云えます。

 

次にVTRの短所について記述いたします。
短所1項の検索時間ですが、∨TRの場合は長尺テープを使用しております関係で見たい映像を検索する時間が必要になります。特に、編集等の作業では、この時間が多くなり作業時間を長くする要因に成っております。
一方、ディスクシステムではこの時間を殆ど無視することが出来ますので作業時間が同じで有れば、制作に費やす時間を多く取れることになります。
短所2項の収録容量についてですが、VTRの場合はテープ長に依存します。
もともとテープを交換する事が前提に有りますので長時間のテープを必要としません。一方、ディスクの場合は、記録媒体が脱着出来ませんから記録容量を確保する為には長時間のディスク容量が必要性になります。
短所3項の駆動部分についてですが、VTRには映像信号を記録・再生するためのビデオヘッドがあり、このヘッドが回転しながらテープ上をトレースします。また、テープを正しく走行させる為の機構が必要で、何れも定期的なメンテナンスが不可欠です。一方、ディスクの場合は、メンテナンスが必要なく故障するまで使用できます。此の点に付きましては、前回のテーマにしました「ハードディスクについて」で記述しております。

3.用途について

ハードディスクを搭載した機材には、VTRをイメージしたボックス商品とデータストレージメディア部分のみとしたブラックボックス商品に分けることが出来ます。VTRをイメージした商品には操作釦が有り単品で使用できますが、ブラックボックスの場合は制御する為のパソコンとソフトが必要になり、一般的にはシステムとして取り扱われております。
ここでは、ディスクを搭載した商品の「適」「不適」について紹介します。

 

−1.ENG取材
ENGの取材は、さまざまな状況が発生しますので機動性に富んだ機材が要求される点と短時間で編集できる必要性があります。しかし、前項で記述しました様に、耐衝撃性の問題と取材した映像を高速で局舎へ転送することが困難な状況が有りディスクのメリットが生かしにくいと云えます。但し、取材先からリアルタイムで素材を送信し、局舎のディスクシステムで収録するケースでは、コピー時間が必要無くなるのでディスクのメリットを生かせます。

 

−2.ENG編集
編集も前項で記述しましたように、時間との勝負であり短時間に処理できることが望ましいと云えます。ディスクに収録する時間は実時間になりますが収録した後の編集は短時間で処理できますのでメリットが生かせます。
更に付け加えるなら、編集したシステムから送出することが望ましいと云えます。

 

−3.番組制作編集
制作編集は、時間的にも余裕があると云えますので敢えてディスクを使う必要性は無いと云えます。特に、制作の過程で、映像の特殊効果等が必要になりますので、圧縮処理のディスクシステムは画質の劣化に注意しなければならずメリットは生かせにくいと云えます。
このことは、CM制作の場合も同様といえます。

 

−4.送出
ニュースを除いた送出には、CM、ドラマ、番組宣伝などが有りますが、その中のCMや番宣などは、デュアレーションタイムが短く送出頻度が多い運用になる為、ディスクのメリットを生かせます。特に送出順や内容変更が生じたときなど、事前に素材が収録されておればデータ変更のみで対応が可能になります。一方、ドラマはデュアレーションタイムが長く内容変更も特番以外は行われませんから、ディスクを使用するメリットは少ないと云えます。

 

−5.特殊用途 ディスクのアクセスタイムが短いメリットを利用したシステムに時差送出があります。時差と云うと奇異に思われますが、系列局と番組交換するケースで、自局の編成時刻とのズレが生じた場合に、ディスクに番組を収録しつつ送出時刻に合わせて送出することで、系列局との時間差を吸収することが出来ます。∨TRでも可能ですが、時間差が短いケースで難しくなります。

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