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MPEGの展望(その3)

1.概要

前回は、画質圧縮の基本とMPEGの画質圧縮技術について紹介いたしましたが、引き続きMPEGで使用されている画質圧縮技術について記述いたします。
MPEGの規格は基本的に「圧縮された信号」から「元の信号」に復元する使用を定めており、圧縮する方法については規定されておりません。
従って、如何にして画質劣化を少なく圧縮率を高められるかが製品の優劣を左右することになり様々な技術が開発されております。
ここでは、これらの技術の中の代表的な手法について紹介いたします。

2. 動き補償予測について

MPEGの圧縮処理は、DCTの技術紹介で触れましたように映像信号を符号化する以前に画面を分割することから始まります。実際には、画面を16×16画素のエリアに分割し、このエリアをマクロブロックといいます。更に、このマクロブロックを8×8画素で分割したサブブロックを設け圧縮の処理方法によって使い分けられております。DCT処理では、サブブロックが使用され、動き補償やフレーム間予測ではマクロブロックが使用されます。
では、本題の「動き補償予測」ですが、画像圧縮する過程で符号化する際に用いられる予測符号化(DPCM)があり、その中の一つにフレーム間で予測する処理があります。一般的に画像は、時間の経過に対し連続性がありますので、フレーム間を比較し画素差をとれば圧縮効率を高めることができます。しかし、フレーム内で車などが移動した場合は、画素差が大きくなり冗長度を利用することが出来ません。この様な場合は、先に記述しましたマクロブロックを検索し、何処のマクロブロックが最も近似しているかを見つけ、そのマクロブロックの位置を求めます。この一連の処理を動き検出と云い、ここで求められた移動後のマクロブロックと移動前のマクロブロックの画素差を取り出すことを「動き補償」と云い、これにフレーム問予測を加味し処理することを「動き補償予測」と云います。

3. 双方向予測について

「動き補償予測」は、一つ前の画像と現在の画像を比較し、近似したマクロブロックの画素差を求めて符号化しており、このことを順方向予測と云います。また、同様の処理ですが未来の画像と現在の画像を比較し画素差を求めて符号化する逆方向予測が有ります。
この二つの処理を行った後に、順方向で得られたデータと逆方向から得られたデータを平均して符号化する処理を双方向予測と云います。未来の画像と云うと不思議に思えますが、実際にはフレームメモリーを用いて画像を取り込み、その画像を時系列に並べ、過去、現在、未来の位置づけをして処理する方法で実現しております。このフレームメモリーは、皆様ご存知のフレームシンクロナイザーに使われている技術で、異種同期の映像信号を局内の同期信号に合わせる際に使用する装置です。この装置を介することで映像信号は、音声信号に対して一フレーム遅れて出力されることになります。画像の符号化処理に於いてもフレームメモリーを用いますので同様の遅れが発生し、更に復元する際にもメモリーを使用しますので、符号化から復元までの処理で遅延が発生することになります。
このことは、記録と同時に再生画像を確認したいとき、再生画像が遅れて出力されることになりまが、予測効率を高める為には有効な方法ですので広く使用されている技術といえます。

4. 画像データについて

以上が代表的な圧縮技術ですが、実際に符号化された画像データは、どのような構造になるかについて、これまでの纏めと合わせて紹介します。 画像を符号化する際の処理方法は下記のように分類されています。

-1.フレーム間予測を用いずフレーム内で符号化処理を完結した画面 この画面を、Iピクチャ〈Intra Coded)と云います。フレーム内の近接した画素を比較し、冗長度を削除して符号化する処理で空間的冗長度に着目した処理です。この為、データ量は最も多くなります。

-2.動き補償予測を使い過去から現在を予測し符号化処理を完結した画面 この画面を、PピクチャくPredictive Coded)と云います。 順方向に二つのフレームを用いて符号化する処理で、画面内に移動する部分がある画像の符号化に対応します。データ量は、-1項より少なくなります。

-3. 双方向予測を使い順方向および逆方向予測し符号化処理を完結した画面 この画面を、Bピクチャ(Bidirectionaly Predictive Coded)と云います。 -2項の予測結果と、逆方向からの予測結果を加えて平均化し符号化します。画像内で移動する部分の他に消滅や出現があり、これらの変化に対して予想確立を向上することが出来ます。データ量は、最も少なくなります。

5. GOP(GROUP OF PICTURES)構造について

4項のまとめで画像を圧縮する処理方法としてIPBのピクチャ構成を紹介しましたが、これら符号化されたピクチャはハードディスク等のストレージメディアに記録され、必要に応じ再生されることになります。
再生する際の画面が全て「I」ピクチャだけで有ればフレーム内で符号化が完結している為、順次にデータを復元することが出来ます。しかし、「I」ピクチャは符号化されたデータ量が多く、その分ストレージメディアの容量を多く必要とするため、データ量の少ないPBのピクチャを組み合わせトータル的にメディアの容量を少なくしております。
一方、再生時の操作に就いては、使い慣れたVTRイメージが基本になりますので、プログラムの途中から再生したり、編集点の確認のためにジョグ、シャトル操作を行います。このVTRイメージ操作と圧縮率を高める処理とは相反する関係にあり、操作性を良くすると圧縮率が抑えられ、圧縮率を高めると操作性が犠牲になり、この折り合いを示す指標に「GOP構造」が有ります。図−1に概念図を示します。

この「GOP構造」とは、IPBのピクチャの配列と、その配列の繰り返し周期を規定しており、I ピクチャの繰り返し周期を[N]とし、PまたはIの繰り返しを「M」で表されます。−般的な、GOP構造としては、N=12、M=3 が選ばれておりますが、放送業務用などでは編集作業に重点を置いて、IピクチャのみのN=1、M=1やN=2、M=2を採用しているケースが有ります。何れの場合も、GOP構造は Iピクチャが基準に考えられており、このピクチャが繰り返される毎に画像データが完結します。Iピクチャが一枚で残りが全てP BIピクチャで構成されるケースは有りません。
この様に、MPEGでは画像を圧縮する際に様々なバリエ−ションが有り、画質比較を難しくしておりますが、圧縮された映像の使用目的を絞ることで用途に合わせた機器の選択が可能になります。

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