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MPEGの展望(その2)

1.概要

前回、ご紹介いたしました「MPEG の展望」について暫く継続させて頂き、今回は、MPEG の基本技術である画像圧縮について記述いたします。
画像圧縮技術は何時の時代でも課題であり、古くは白黒映像信号やカラー映像信号にも採用されている技術の一つといえます。その後、各分野で研究されデジタル化が進むにつれて高度な画像圧縮技術が開発され現在に至っております。この流れが放送業界にも取り入れられ、本年末から放送開始されるBS デジタル放送設備にはVTR を初めとして多くの映像装置に、この圧縮技術を採用した機材が導入されております。

2.画像圧縮の基礎

●2-1 圧縮技術の方法
映像信号を圧縮する際に様々な方法が考案されておりますが、基本となる考えは人間の視覚特性に依存して違和感の無い映像を再現することにあります。一般的に云われることは、画像の水平方向および垂直方向の画素を荒くすると「ぼけた」た画像になり、1秒間に送られる画像枚数を少なくすると動きが「ぎくしゃく」してきます。そこで如何にしたら視覚的に違和感の無い画質を維持しつつデータ量を少なくするかが圧縮技術のポイントになります。次に、この代表的なポイントについて紹介します。

 

●2-1-1 有効画素の抽出
映像信号には、水平および垂直ブランキング信号が付加されておりますが、この信号は画質に直接関係ないため圧縮処理する際に削除することが出来ます。この場合、画質の劣化は伴わずに約20%圧縮された事になります。しかし、最近のテレビ放送では垂直ブランキング期間にデータを重畳して運用するケースもあり、MPEG-2 の422P@ML ではブランキング期間を含めた方式も標準化されております。
圧縮の話から少し逸れますが、ブランキング期間の利用されている例を紹介します。ビデオ編集で映像の頭出しを行う時、編集機のサーチダイヤルでVTR をコントロールしますが、この時テープの長手方向に収録されているタイムコード信号を読み編集データとして取得します。しかし、テープ速度が遅くなると長手方向のタイムコード信号が読みとれず誤差を生じます。これを防ぐために、長手のタイムコード信号と同じデータを垂直ブランキング期間に重畳させ、テープスピードが遅くなった際に重畳したデータを読み取ることで編集データの精度を高めています。この信号を「VITC」信号と云います。

 

●2-2-2 サンプリング数の選択
技術的には最もシンプルな手法で、人間の視覚特性を巧みに利用した方法と云えます。この視覚特性は、輝度信号、青色系、赤色系の順に特性が劣化し見え難くなります。この特性を圧縮技術に応用した方法です。

 

図-1は、ITU-R 勧告601 フォーマットを示します。
横軸が水平方向の画素数を表し、縦軸は走査線の本数を表します。アナログ信号からデジタル信号へ変換する場合、表します。アナログ信号からデジタル信号へ変換する場合、輝度信号(Y)のサンプリング周波数を13.5MHz とし色信号(Cb.Cr) を半分の6.75MHzします。輝度信号のサンプリング周波数を「4」とすると、色信号は、半分の「2」となり一般的には、4:2:2 フォーマットとしてD1 VTR 等で採用されております。
このレベルであれば画質として十分な性能と云えますが、データ量が多く記録メディアの容量や伝送帯域を多く必要とします。これに対しM PEG-2 フォーマットでは、輝度信号と色信号の水平方向のサンプリング数を同じにし、色信号の垂直方向のサンプリング数を半分にした圧縮を行っています。
図-2に示すMPEG-2 の4:2:0(MPEG-2 MP@ML)の場合は、垂直方向の色信号のCb. Cr を一本目のラインでCb を取り込み、次のラインでCr を取り込む方式を採用しており、結果として1ライン目が4:2:0 となり2ライン目は4:0:2 となります。この方式を4:2:0と表現しております。
ここまで圧縮率を高めますと、絵柄によってはノイズが発生する場合があり、ライン毎に抜き取らず垂直方向のサンプリング数を半分にしてCb. Cr を削除せずに圧縮する4:2:2 P@MLの方式が開発され採用されております。この他に色信号の水平方向のサンプリング数を半分にした、4:1:1 フォーマットがあり用途に合わせて様々な組み合わせが可能になっております。
図-3は、MPEG-1 の方式です。
この方式は、輝度信号および色信号ともMPEG-2 の半分のデータ量に削減されており用途として限定された範囲で使用されております。以上がサンプル数を変えて映像信号を圧縮する方法です。

 

●2-2-3 符号化処理
ここまでの圧縮処理は有効画面や視覚特性を利用した方法でしたが、更に映像信号を符号化する際の処理過程で圧縮する方法が用いられております。
以下に主な方法を紹介します。

 

-1. DCT 方式
DCT とは「離散コサイン変換」方式で、画面をブロック単位に分割し冗長性を少なくして符号化する圧縮方式です。映像信号は単一周波数の組み合わせで構成されており、この映像をブロック単位に分割し、更に個々のブロックを大枠の映像(低い周波数成分)と詳細の映像(高い周波数成分)に分けます。 この処理を「DCT」変換と云います。周波数で分解しますと低い周波数成分が多く高い周波数成分が少なくなる特性があり、この高い周波数成分を量子化するときに削除することで圧縮することが出来ます。

 

-2. 予測符号化(DPCM)
映像信号は、近傍のデータやフレーム間でデータが近似していることを利用した方法で、近似した過去データーと現在のデータを比較し、その差分のみを取り出すことで圧縮する方法です。この方法は、フレーム内処理(空間内予測)とフレーム間(時間方向予測)で行われます。

 

-3. 可変長符号化(VLC)
符号化データに変換されたデータの並びを見ると、発生率の高いデータと低いデータに分けられます。この特性を利用し発生率の高いデータには低いデータに分けられます。この特性を利用し発生率の高いデータには短い別データを割付、発生率の低いデータには長い別データを割り付けることでトータル的にデータ量を圧縮する方法です。 以上が映像を圧縮する基本的な方法です。これらの方法を組み合わせて活用し様々な圧縮方式が考案されております。

 

●2-2-4 MPEG で使用される圧縮技術について
MPEG で使用されている基本的な技術は、

 

-1. 動き補償予測による時間方向の冗長度を削減
-2. DCT と量子化による空間方向の冗長度を削減
-3. 可変長符号化によるデータ量の削減

 

等によって圧縮が行われております。この中で-2 . -3項については、前項で紹介しましたので-1項について補足いたします。動き補償予測とは予測符号化のフレーム間予測を改良された方法で、画面内に動く物体が有った時、過去の画面と比較し最も近いデータとの位置を検出しこの位置データを使って圧縮する方法です。
以上が映像圧縮の基本技術です。

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