HOME  > 技術情報

技術情報

MPEGの展望

1.概要

信号処理のデジタル化が半導体技術の開発と共に飛躍的に進歩し、放送分野や通信分野に大きな変革が起きています。放送分野では、ご存じの通り今年の12月より放送が開始されるBS デジタル放送が有ります。
また、通信分野ではデータ通信を核とする様々なサービスが計画されております。これらの変革は、既存の伝送システムを利用して一度に多量のデータ処理を可能にした技術が実用化された結果といえます。この技術の一つにデータ圧縮技術があります。今回、ご紹介いたします圧縮技術は、MPEG と呼ばれるデータ圧縮技術で、映像および音声信号を含めたものですが、映像に特化して記述いたしました。

2.圧縮技術とは

●2-1 圧縮の考え方
圧縮の説明をする際に良く取り上げられる例として濃縮ジュースの話が有ります。この話のポイントは、輸送時のコストを如何に軽減するかです。
例えば、1台のトラックでジュースを運ぶ場合、運べる量は限られているわけですから、生の果物を運んでジュースを造るより、事前に濃縮したジュースの原料を運ぶ方が遙かに多くのジュースを造ることが出来ます。
映像信号についても同様の原理になります。例として、映像信号と云えばNTSC方式に代表されますが、本来の映像信号は、R.G.B の信号で構成され順次走査が基本となります。しかし、当時の状況では現実的でなく圧縮した映像信号が開発され、その延長が現在のNTSC 方式と云えます。
この圧縮方法は、通常云われておりますデータ圧縮ではなく、周波数帯域制限と画像の間引きによって圧縮しています。ご存じのようにNTSC方式では、飛び越し走査と云われる技術を使って、1画面で525本走査すべきところを半分の262.5本とし次の画面で走査していない部分を走査し、2画面で画を完結させています。
また、色信号についても視覚的に違和感のない周波数帯域まで制限しております。この圧縮性能は優れたものとは云えませんが映像信号を形成する上で当時では画期的な方式と云えます。この様に圧縮技術は古くから研究されており、それがデジタル化と共に加速され広く圧縮技術が使われるようになり、現在の圧縮技術が確立されたと云えます。圧縮技術の性能を左右するポイントには幾つか有りますが、なにより圧縮・伸張による特性劣化を極力抑えることが重要になります。ジュースの濃縮も同じですが、元に戻したときジュースの味が落ちては商品にならないと同じよにデータも元に戻ることが大切になります。

 

●2-2 圧縮方式について
圧縮方式については、応用分野や毎に技術開発が行われ各種の方式が標準化されております。表-1に代表的な圧縮方式を示しました。

-1 H.261 について
電話回線を用いたテレビ会議等を目的に開発された方式で、1990年に正式勧告されました。352 画素数/ライン、288 ライン/フレーム、30 フィールドで構成されています。

 

-2  JPEG について
静止画を目的に開発された方式で、1992 年に正式勧告されました。静止画用なので、画像の動きがない分ビットレートが自由に選択できるメリットがあります。デジタルカメラやインターネット等で使用されています。その後、動画用にも使用できるように改良がなされ、M-JPEG (Motion JPEG) として利用されています。

 

-3  MPEG-1 について
動画をCD-ROM 等に格納する為にH261、JPEG をベースに改良しビットレートを低くした圧縮方式で1992 年に正式勧告されました。CD-ROM 、ビデオCD 、パソコン等で使用されております。カラオケのシステムにも採用されています。信号出力処理はリアルタイムで行えるが、入力処理はリアルタイムでなく時間を要します。

 

-4  MPEG-2 について
MPEG-1 ではビットレートが1.5Mbps に決められているため画質としての限界があり、この画質を更に高めることを目的に開発された方式で1994 年正式勧告されました。動画の品質を実用レベルまでに高めたもので広く利用されております。その後、色信号の特性を改良し4:2:2P@ML も開発されており、現行の放送品質と遜色のないレベルに達していると云えます。 また、飛び越し走査の機能にも対応されております。

 

●2-3 MPEG2 の方式
MPEG2 は、H261、MPEG1 等を包含する方式のため様々な仕様に分かれております。表-2に各仕様を示しました。

MPEG2 の仕様を分類する手段として、画像に関する数値をレベルとし縦軸で表現し、機能に関する仕様をプロファイルとし横軸で表現しております。
レベルを分類している数字は画面構成を示しており、(画素数/ライン)X(走査線/フレーム)X(フレーム/秒) を表します。例えば、Main.720x480x30 の場合、水平1ラインの画素数が720 画素、走査線の本数が480 本(垂直帰線は含みません)、画面のフレーム数が30 フレーム、と云うことを意味します。この数値が大きい程、高画質になる訳です。
次に、横軸のプロファイルですが4:2:2 とか4:2:0 の数値は、映像信号が輝度信号(Y)と色信号(Cb Cr)で構成されており、各信号をサブサンプリング(画素を間引く)する周波数の比率を表します。例えば、4:2:2 の場合、輝度信号のサブサンプリング周波数に対して、Cb Cr 信号は半分になります。
また、4:2:0 の場合は更にCb Cr 信号が半分になることを意味します。
画質的には、4:2:2 の方が4:2:0 より優れていることになります。次に、Simple 、Main 、SNR 等の表現がありますが何れも圧縮処理の方式の違いを意味しております。これらの方式は、現実的な方式と将来実現する方式とが混在しており煩雑になっておりますが、一般的に使われているのは「MP@ML」「422P@ML」が有ります。
以上が、MPEG2 方式の概略仕様になります。

copyright(c)2007 brains-system All Right Reserved