HOME  > 技術情報

技術情報

デジタルVTRについて

1.概要

1956年2インチVTRが発表されてから現在に至るまでの技術進歩は、目覚ましいものがあります。当初のVTRは、アナログ回路を用いており、如何にすれば信号劣化を少なくするかの技術競争でした。しかし、回路技術の進歩もさることながら、半導体技術も同様に進歩し結果としてデジタル信号処理が容易になり、急速にVTRのデジタル化が進みました。この流れが、プロ用に止まらず、コンシューマー領域まで進み現在のデジタル時代を迎えたといえます。

2.VTRの概念

始めに、VTRの基礎概念について簡単にご説明いたします。

VTRの概念を図式化する手段は種々ありますが、信号処理を前提にした場合、図-1で表せます。 映像信号をVTRに入力しますと、その信号をビデオテープに記録しやすいように、信号処理を行い、ビデオヘッドによって、テープに記録されます。次に再生する場合は、テープに記録された信号をビデオヘッドで取り出し、電気回路で元の映像信号に戻します。この過程は、アナログVTRだけでなくデジタルVTRでも処理方法は異なりますが同様の過程を経ます。通常VTRを用いて映像信号を収録・再生する際に、制作を意図する場合はVTR間で収録・再生を何回か繰り返す作業が伴い、この繰り返しによって信号劣化が生じ、画質劣化に大きく影響します。電気回路は勿論のこと、メカ機構を含めて信号劣化が伴いますので、それぞれの過程で信号劣化を極力少なくする工夫がなされています。

3.アナログVTRとデジタルVTRの違い

2項でVTRの概念を記述しましたが、この概念をもとにアナログとデジタルの違いについてご説明したします。

始めに、映像信号の帯域についてですが、通常6MHz必要とされています。これに対し音声信号は20KHzと言われており、帯域比として約300倍の開きがあります。この映像信号を、オーディオテープレコーダーで記録しようとしますと、300倍のテープスピードが必要になり現実的ではありませんので、VTRは電気回路およびメカ機構に工夫を凝らしております。入力側の電気回路では、映像信号をテープに記録しやすい信号に変換する事を目的としております。アナログVTRではFM変調方式が用いられており、この方式は、信号レベルが一定で周波数だけが変化すると共に直流分を含まない信号に変換されます。他方、デジタルVTRでは「1」「0」のデジタル信号に変換されレベルは、FM信号と同じく一定になります。しかし「1」や「0」が連続すると直流分が発生しますので発生しないような工夫がされています。以上の様な処理を行いビデオヘッドを介してテープへ記録します。次にメカ機構部ですが、記録周波数が高いためにテープスピードを早くしなければなりません。テープスピードとは、ヘッドテープの相対スピードの事ですから、VTRの場合はヘッドを回転させ相対スピードを確保しています。このメカ機構は、基本的にアナログとデジタルの違いはありませんが、デジタル信号はアナログに比べて情報量が多くなる為、ヘッドの数を増やすなどの工夫がされています。次に信号を再生する場合ですが、回転ヘッドを用いてテープに記録された信号を取り出します。テープから取り出した信号は、出力側の電気回路にて元の映像信号に復元されます。アナログVTRではFM信号から復調回路を介して元の映像信号に戻します。デジタルの場合は、入力側と逆の処理を行い、最後にアナログ変換して映像信号に戻します。一方、アナログ回路は入力側と同様な劣化が発生しますので、デジタルに比べ不利になります。

4.デジタルVTRの優位性について

前項でご説明しましたとおり、アナログVTRとデジタルVTRの基本的な概念は同じですが、何故、再生される信号に違いが出るかについてまとめてみます。

-1. 入力回路の違い
アナログVTRの信号処理は、アナログ信号のままでビデオヘッドに供給されます。一方、映像信号の周波数帯域は6MHz と広く、この信号を劣化させないで処理することは大変難しい技術が要求されます。特にアナログ回路では、周波数特性、位相特性、リニアリティー等の特性が信号劣化の要因になり画質を大きく左右します。それに対しデジタルVTRは、入力信号を先にデジタル変換しますと、その後はすべてデジタル処理になるため信号の劣化が起きにくいといえます。強いてデジタル回路で特性を劣化する要因とすれば、アナログからデジタルに変換する回路の性能に起因します。

 

-2. メカ機構
ここでいうメカ機構とは、映像信号をテープに記録する回転ヘッド機構を指します。前項で記述したように映像信号を記録するためには、ヘッドとテープの相対スピードを早くする必要があるため、ビデオヘッドの回転数は映像信号との関係で、毎秒30回転とか60回転になります。この様に高速で回転するヘッドで信号をテープに記録するわけですから、テープとヘッドの接触エラー(スペーシングロス)、回転ムラによる時間軸の変動(ジッター)、やテープの磁性粉の欠落による信号ロス(ドロップアウト)が生じます。以上の障害は再生時にも発生しますので、これら全てが信号劣化につながり、特にアナログ信号ではデジタルに比べ影響が多いといえます。

 

-3. 出力側の電気回路の違い 出力側の信号処理については、入力側と同じ様な劣化が伴いますが、主にアナログとデジタルの違いは、再生される信号の補正方法にあります。メカ機構の項で述べましたように、時間軸の変動および再生信号の欠落(ドロップアウト)があり、これらの信号劣化を補正する処理がアナログよりデジタルの方が優れているといえます。時間軸の補正は、既にご紹介いたしましたようにデジタルタイムベースコレクターで補正します。 また、ドロップアウトの補正は、アナログの場合、水平期間の1ライン単位で信号を置き換えますが、デジタルの場合は、データで補正できる為、画質の劣化が最小限で済みます。この様に、信号がデジタル化されますと、様々な処理が可能になり、より高品質の信号が得られることになります。

copyright(c)2007 brains-system All Right Reserved