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スタジオシステムのデジタル化による優位性

1.概要

スタジオシステムは規模の大小を問わず、多くの機材が組み合わされて構築されます。このシステムを設置から運用までの範囲でデジタル化の優位性を考えてみたいと思います。最初にシステムの設置においては布線工事があり、システム調整が必要になります。また制作を行う業務においては、カメラを撮り、VTR編集・コピー、ビデオスイッチャーやオーディオミキサーを用いた加工処理、文字スーパー等が行われます。これらの過程において、デジタルシステムの優位性について記述いたします。

2.デジタル化について

始めに、映像信号や音声信号をデジタル化するということについて簡単に説明いたします。

 

アナログ信号を取り扱う場合の基本的な考えは、入力された信号を如何にして劣化を少なくするか主として追求する技術と云えます。例えばオーディオアンプに代表される純粋の電気回路、機構部を含むVTRの電気回路、及びアナログ放送の伝送路等においてアナログ信号を忠実に出力できるかが重要な技術であり、この技術が商品の性能を左右する事になります。一般的には、性能を左右する要素として、信号のS/N比(信号とノイズの比)、直線性(リニアリティー)、周波数特性、位相特性等が重要になります。 これに対し、デジタル信号の場合は、基本的に「0」と「1」の信号に集約されますので、電気回路や伝送路等による信号劣化を少なくすることが可能です。次に、デジタル信号についての概念を簡単に説明いたします。

アナログ信号をデジタル信号に変換するには、標本化処理及び量子化処理を行いデジタル信号にします。標本化処理(サンプリング信号とも云います)とはアナログ信号を標本化信号で時間軸方向に分軸する処理のことです。(図-4) 標本化された信号は、階段状の信号になり元もアナログ信号とは若干異なりますが、ほぼ近似しております。分軸する標本化信号は、細かい程アナログ信号に戻したときの精度が高くなりますが、通常は2倍以上あれば支障ありません。
NTSCの映像信号を標本化する場合は、サブキャリヤーの4倍の周波数を、また音声信号では44kHzを使用しております。次に量子化処理ですが、標本化されたパルス信号を「1」「0」のデジタル信号に変換することをいいます。標本化されたパルス信号は、そのレベルに準じて数値化されます。量子化は8ビットとか10ビットとかいわれますが、8ビットの例でデジタル化する場合、映像信号の最小レベルを「0番地」としますと、最大レベルが「256番地」になり、この間については信号レベルに準じて「2番地〜255番地」に割り付けられます。割り付けられた番地を元に「1」「0」の組み合わせで8ビットのデジタル信号に変換します。割り付ける番地が多い(8ビットより10ビットの方が番地が多い)ほどレベルが細分化されますので元のアナログ信号に戻した時有利になります。音声信号の場合は、16ビットや20ビットで量子化されます。
次に、デジタル信号から元のアナログ信号に戻すには、デジタル化の逆の処理を行い「1」「0」の信号から階段状のレベル信号に変換し、その後、階段を滑らかにする処理を行い元のアナログ信号に戻します。

3.デジタル化の優位性について

-1. システムの設置
スタジオや編集設備を設置する際、ケーブルの本数が膨大になります。 アナログの代表的な信号として、映像信号、音声信号、制御信号があります。デジタルの場合も同様の信号が必要になりますが、最近のシステムでは、SMPTE259に規定されている方式でデジタルの映像信号にデジタルの音声信号を重畳し、一本のケーブルで接続することができます。また、アナログ信号はケーブルの長さや太さの影響も考慮する必要がありますが、デジタルでは太さを考慮すればよく工事が簡略化されます。

 

-2. システム調整
システムの調整についても、アナログシステムではレベルと周波数特性位相等の調整を信号の系統ごとに確認する必要がありますが、デジタルの場合は不要になります。唯一デジタルシステムの注意点は、信号の遅延を考慮する必要があります。信号が遅延するケースとして、映像信号の例をあげますと特殊効果装置や同期を合わせるためのフレームシンクロナイザー等を用いますと信号の処理過程で遅れが生じます。この遅れについては、システム設計時に音声信号と映像信号の遅延が同じになるように配慮することで解決できます。

 

-3.スタジオ機器
スタジオ機器は、目的や規模によって異なりますが、デジタル化を図ることで高品質の映像・音声処理が可能になり、編集処理の行程では、デジタル化の効果が顕著に現れます。特に、アナログVTRを用いた編集システムでは「映像信号のやりくり」処理を行いますと、信号劣化は避けられません。この他にも、コピー処理、映像スイッチャー、音声ミキサー等で劣化が起きますが、デジタル機器を使用することでこれらの問題を解決する事ができます。また、信号の特殊効果処理においてもデジタル化されていますと、画質・音質を維持したまま様々な特殊効果を生み出すことが可能になります。この様に、システムをデジタル化することでこれまでなし得なかった新しい手法が利用できると共に質の高い番組制作が可能になります。

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